
信用取引では「買った株を売る」、「売った株を買い戻す」以外にも、建玉を決済する方法があります。今回は信用取引の決済方法である「現引き」と「現渡し」について勉強しましょう。
現引きとは?
現引き(げんびき)は、信用取引で買った株の決済方法の一つです。
信用取引で買った株は「買い建玉」と言い、通常は買い建玉を売ることで決済します。しかし、買い建玉を売らずに、現物株に持ち変えることで決済することができます。
この、買い建玉を現物株に変えることを「現引き」と言います。
現引きのメリット
現引き決済のメリットは次の通りです。
株価変動の影響を受けない
現引きせずに、信用買いした株を現物株に変える場合には、一旦信用買いしか株を決済(売却)してから買い戻します。
その場合には、売値と買値が必ずしも同じになるとは限りません。気配値にある買い注文と売り注文の価格に開きがあるほど難しくなります。
現引きすることで、その価格差を考える事なく現物株に切り替えることが出来ます。
手数料が安い
現引き注文は無料で受け付けてくれる証券会社も多く、一旦決済してから現物で買い戻すよりも手数料負担は軽くなります。
現引きの効果的な使い方
現引きは次のようば場合に効果的です。
長期保有に切り替える場合
最初は短期で信用買いした銘柄を、長期保有したい場合に現引き決済は有効な決済方法です。
信用取引で買った株には年に2%程度の金利がかかります。また制度信用取引では半年以内に決済しなければいけません。
現引きすることで、こういった信用取引のデメリットを解消することが出来ます。
1日信用取引で購入した株を持ち越す時
私自身もよく使いますが、1日信用取引で買った株を翌営業日以降に持ち越す時にも現引き注文は効果的です。
相場の状況から、どうしても1日で決済したくない場合にも1日信用取引というルール上決済しなければいけません。現引きすることで現物株として持ち越すことが出来ます。
現渡しとは?
現渡しとは、空売り(信用売り)した株を、保有している現物株を引き渡すことで相殺する決済方法です。
空売りしている株を、現物株で保有しているという、一見すると投資家は何の得もしない状況ですね。では、どうしてこのような状況があり得るのでしょうか?
現渡し注文の効果的な使い方
現渡し注文が役立つのは次のような場面です。
株主優待目的のつなぎ売り
別の記事でも解説しましたが、株主優待を獲得する方法につなぎ売りという手法があります。
これは現物株で保有している株を、同数だけ空売り(信用売り)することで株価変動のリスクを抑えて株主優待を獲得する手法です。
この株主優待を獲得した銘柄を、現渡しすることで保有株と空売りした株を相殺して、株主優待の権利だけを受け取ることが出来ます。
現渡し注文の手数料
現引き注文と同様に、現渡し注文でも手数料を無料にしている証券会社は多くあります。
SBI証券や松井証券なども現渡し注文の手数料は無料ですから、株主優待目的でつなぎ売りを考えている人は、自分の口座を開設している証券会社を確認してみると良いでしょう。
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