アルゴリズム取引とは|高速取引と個人投資家の向き合い方

株の売買注文は、いつも人間が買い注文ボタンを押しているわけではありません。機関投資家などでは、アルゴリズム取引と呼ばれるコンピューターを使った取引が一般的に用いられています。今回はアルゴリズム取引について勉強しましょう。

アルゴリズム取引とは

アルゴリズム取引は、コンピューターを使って、予め設定した条件で売買注文を発注する取引のことで、システムトレードとも呼ばれています。

テクニカル分析の売買シグナルや経済ニュースなどを取引条件に指定していれば、その条件を満たした時に自動的に売買注文を発注してくれます。

アルゴリズム取引の特徴

株式市場で見かけるアルゴリズム取引の特徴は、その売買注文の速さに見る事ができます。HTF(high frequency trading)と呼ばれる人では出来ないような高頻度の取引も、このアルゴリズム取引の一部です。

条件が満たされれば即時に発注される取引は、人が注文するよりも圧倒的に早く、個別株においても気配値を見ていれば、板の状況によって瞬時に入れ替わるアルゴリズム取引による注文を見る事ができるでしょう。

AI技術の発展でアルゴリズム取引は今後も発展

当然ながら、現在のアルゴリズム取引にはAI技術は欠かせません。機関投資家などが予め設定した条件だけでなく、AIが独自に状況に応じて売買判断をすることも、今や珍しいことではありません。

海外の大手金融機関の証券ディーラーがAIに置き換わる状況も起きていて、今後、株式投資の主役はAIを利用したアルゴリズム取引になることは避けられないと言えます。

アルゴリズム取引が個人投資家に与える影響

では、そういったアルゴリズム取引が個人投資家に与える影響はあるのでしょうか?

アルゴリズム取引は2000年代には既に始まっていました。しかし、その頃には取引全体に占めるアルゴリズム取引の割合が小さかったこともあり、個人投資家の取引に影響を与えることは少なかったと言えます。

しかし、昨今のアルゴリズム取引が主流となっている相場では、個人投資家への影響も大きなものになっています。

短期投資での個人投資家の苦境

特にデイトレードやスイングトレードなど短期投資においては、アルゴリズム取引の高速注文や大きな資金での連続した注文などによって、個人投資家の取引機会は少なくなっていると言えるでしょう。

決算発表などIR発表などにおいても、AIを利用したアルゴリズム取引は圧倒的な速さで内容を見極め、適切な注文を発注します。そのため、個人投資家はIR発表によって変動する株価の初動に乗る事は難しくなります。

また、アルゴリズム取引による無尽蔵とも言える連続注文は相場の流れをコントロールし、個人投資家による裁量トレードをノイズとしてかき消します。

個人投資家はアルゴリズム取引は共存を目指す

心理的な要因に左右される個人投資家の裁量トレードと、統計データや客観的観測に基づくアルゴリズム取引では、投資判断が大きく違います。

そのため、個人投資家の売買がアルゴリズム取引に対して裏目にでることも多いのですが、対抗していても利益には繋がりません。

個人投資家としては、アルゴリズム取引との共存を目指し、それらの取引への理解を深めることで自身の利益にもつながるでしょう。

また、長期投資の場合には、アルゴリズム取引による売買も所詮はノイズでしかありません。会社の財務状況や業績への評価が正しいものであるなら、株価はいずれ適切な位置に収まります。

今や金融市場へのAIの参入、アルゴリズム取引の拡大は避けようがありませんが、個人投資家はそれらとの共存を目指すことで、自身の資産運用を効率化していくことが出来るでしょう。

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