
株の売買手法の一つとして、自身で買いと売りの両方の売買を同じタイミングで行う取引をクロス取引と言います。今回は、クロス取引の目的や注意点について勉強しましょう。
クロス取引とは
クロス取引とは、同一銘柄を、同じタイミングで同数量の買い注文と売り注文で約定される取引のことです。
ただただ、取引手数料だけが発生する、何の意味も無さそうなクロス取引ですが、なぜこのような取引手法があるんでしょうか?
クロス取引の目的
クロス取引をするのは次のような目的があるからです。
低リスクで株主優待を貰う「優待クロス取引」
現物買いと信用売りのクロス取引を利用することで、株価の変動によるリスクを避けて株主優待を貰うことができます。
権利落ち後に株価が下落すると、現物株式には損が出ますが、信用取引の売建玉は同等の利益になるため、クロス取引を行うことで株価変動の影響を抑えて株主優待の権利を取得することができます。
年末の節税対策「損出し」
現物株式の売りと信用買いのクロス取引を利用することで、現物株の損出しをして節税対策することが出来ます。信用買いした建玉は翌営業日以降に、現引き注文することで現物株として保有することが出来ます。
株式投資の税金は年間で損益通算されるため、年間で利益が出ている状態で含み損がある銘柄を損失確定することで節税することが出来ます。
信用取引の期日延長
制度信用取引では、建玉を半年以内に返済(決済)しなければいけません。ですが、期日が迫っていても継続して建玉を保有したい場合には、一旦クロス取引で決済することで、株価変動のリスクを避けて新たに信用取引で建玉を持つことが出来ます。
例えば、信用買い建玉で期日が迫っているなら、信用売り返済注文と信用買い新規注文をクロス取引させることで、古い建玉を決済して、新しい建玉を購入する事になります。
不公正取引に注意
ただし、クロス取引は決められたルールを守らなければ、相場形成や偽計などの不公正取引にあたる可能性もあるため注意が必要です。
特にザラ場でのクロス取引や現物株同士のクロス取引は、基本的には不公正取引の誤解を招きやすく、利用することは出来ないと考えても良いでしょう。
【必須】クロス取引のルール
証券会社によるクロス取引を巡る不公正取引を疑われる取引への注意は、年々厳しくなっています。
そのため、証券会社の違いや目的、手法によってはクロス取引自体が制限される場合もあり、上記のクロス取引自体が出来ない場合もあります。
クロス取引の不公正取引に該当しないために、証券会社はクロス取引に関して独自のルールを設けているので、クロス取引をする際には、必ず利用する証券会社のルールに則って取引をするようにしましょう。
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