
株式市場に上場している株は、様々な理由から上場廃止になることがあります。今回は、上場廃止について勉強しましょう。
上場廃止とは
上場廃止は、株式市場に上場している株が、何らかの要因で非上場化することです。上場していれば株式市場を通じて投資家同士が株を売買できますが、上場廃止になれば投資家は株を売買する相手を自身で探さなければいけません。
普通の個人投資家にとって、自身で株の取引相手を見つける事は容易ではないため「上場廃止=株を売却」となることが一般的です。
上場廃止の原因は?
上場廃止には大きく二つの原因があります。
上場廃止基準に抵触する
一つは証券取引所の定める上場廃止基準に抵触した場合です。この場合は、上場廃止基準に抵触している課題をクリアすることで上場維持になりますが、クリアできなかった場合には上場廃止になります。
上場廃止基準は上場する市場ごとに細かく設定されていますが、具体的には次のような項目で基準があります。
- 株主数
- 流通株式数
- 時価総額
- 債務超過
- 有価証券報告書の提出遅延
- 虚偽記載や不適切意見等
友好的TOBやMBO
二つめは、会社が自らの意思で上場廃止になる場合です。これには友好的TOBやMBOなどが挙げられます。
企業が吸収合併される時に行われるTOBの一部や、上場するメリットよりデメリットが大きいと経営者が判断した場合のMBOなどでは、その事実と内容を公示することで既存株主へ株式の売却を促します。


保有株が上場廃止になったらどうすればいい?
保有株の上場廃止が決まったらどうすれば良いでしょうか?上場している株式が上場廃止になる場合には「整理銘柄」に指定され、通常1ヵ月間の上場廃止猶予期間が設けられます。
これは、投資家に保有する株を処分(整理)する期間であり、上場廃止までに株を売却する必要があります。
TOBやMBOなどポジティブな理由から上場廃止になる場合には、株価はそれらの行使価格付近で売買されるため投資家にとって不利益にはなりにくいですが、虚偽記載や債務超過等のネガティブな理由で上場廃止になる場合には、株価は上場廃止による流動性の低下や倒産懸念から売り込まれるのが一般的です。
ネガティブな要因で上場廃止になった株は再上場する可能性もありますが、それには少なくとも数年から十数年の歳月が必要です。もちろん、再上場することなく細々と経営する企業や倒産する企業もあります。
そのため、上場廃止が決まった株は売却を視野に行動するのが一般的です。ただ、投資家の中には、上場廃止で二束三文になった株を売らずに、再上場するまで持ち続ける人もいるようですから、その判断は自己責任で個人の裁量によるでしょう。
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