株式投資の配当控除とは?

株式投資の利益には、売却益と配当金の二つがあります。この内、配当金には確定申告することで税金の控除が受けられる可能性があります。今回は上場株式の配当控除について勉強しましょう。

配当控除とは?

配当控除は、国内株式の配当金などを確定申告することで税金の控除が受けられる制度です。せっかく、株式投資をして配当金を受け取ったのに約20%の税金を引かれるのは残念ですから、使える制度は使っておきたいですね。

配当控除は総合課税で確定申告

また、配当控除を利用するなら配当金の確定申告は総合課税で申告しなければ適用されません。

総合課税とはその他の所得と合算して計算される課税方式です。配当所得は、総合課税と申告分離課税の両方から選択できるため、配当控除を利用するなら注意が必要ですね。

配当金は二重課税?

ちなみに、配当金は投資する会社の利益から法人税を引かれた後に、投資家に分配されるお金です。つまり、法人税を支払った上に、配当金を受け取った個人にも課税される二重課税の仕組みになっています。

これを緩和する仕組みが配当控除というわけですね。

配当控除はどれくらい控除される?

では、配当控除を利用することで配当金にかかる税金はどれだけ控除されるのでしょうか?配当控除は総合課税所得1000万円を境に控除率が変わります。

課税総所得金額が1千万円以下の場合

課税総所得額が1,000万円以下の場合には「所得税10%」、「地方税(住民税)2.8%」の税率控除が受けられます。

課税総所得金額が1千万円を超えるの場合

課税総所得額が1,000万円を超える場合には「所得税5%」、「地方税(住民税)1.4%」の税率控除が受けられます。

配当控除の注意点

では、総合課税で配当所得を申告すれば、必ず得をするのかと言えば実はそうではありません。総合課税で申告することによって、所得税や住民税の税率が変更されることに注意しなければいけません。

総合課税の所得税は累進課税、住民税は10%

総合課税では所得税は累進課税、住民税は10%の税率になります。

特定口座で源泉徴収した場合や申告分離課税で申告する場合には、所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%の合計20.315%の配当金額に関わらず一律での課税です。

つまり、総合課税では累進課税や住民税率の高さから所得が大きくなる場合には、配当控除で控除される額よりも税額の負担が多くなる場合があるということです。

国民健康保険加入者は配当控除で保険料が上がる可能性

また、社会保険ではなく国民健康保険加入者は、住民税で配当控除することで所得金額が増えるため、健康保険料が高くなる可能性があります。

せっかく配当控除しても健康保険料がそれ以上に高くなる可能性があることに注意が必要です。この場合には、住民税の申告不要制度を利用することで、住民税は配当控除出来ない代わりに健康保険料への影響もなくすことができます。

配当控除が節税になる条件は?

では、配当控除の条件や総合課税の税率を考慮して、配当控除が節税に繋がるのは、どんなケースでしょ

総合課税所得695万円以下なら配当控除は効果的

結論から言えば、総合課税所得が695万円以下の人なら、配当控除を利用した方が節税対策になる可能性が高いです。

総合課税所得が330万円より多く695万円以下の人にかかる所得税は20%、住民税は10%ですから、配当控除を加味した場合には、所得税が「20%-10%=10%」、住民税が「10%-2.8%=7.2%」となり、合計で17.2%になります。

この17.2%という課税率は何もしない場合の20.315%よりも低いため、配当所得を総合課税で申告した方がお得になりますね。

住民税申告不要制度を利用すれば課税所得900万円以下でも節税に

また、住民税申告不要制度を利用して、住民税に関する配当所得を総合課税にしなければ総合課税所得900万円以下でも、節税できる可能性があります。

住民税申告不要制度については、別の記事で解説しますが、税金の勉強をすれば思いもよらぬ節税になることがありますね。

配当控除まとめ

基本的には、配当控除は総合課税所得が695万円以下の人なら、確定申告をすれば還付される税金があります。また、総合課税900万円以下の人でも、住民税の申告不要制度を利用することで、節税になる可能性があります。

ただ、確定申告の制度は家族構成や収入状況、税制改正などで多様に変化するため、条件によっては節税にならない場合もあるかもしれません。

基本的には、確定申告をする際には役所の方や税理士の方に相談して、確実な方法を選ぶことをオススメします。

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