
信用取引では証券口座に預けたお金や証券を担保として、預けた資金の約3倍の株式投資をすることができます。しかし、その担保の割合や不足した時の対応は必ず知っておかなければいけません。今回は「委託保証金」と「追証」について勉強しましょう。
委託保証金とは?
信用取引では、証券口座に預けたお金や証券を担保として取引を行います。この証券会社に預けたお金や証券を「委託保証金」と言います。
委託保証金には、現金の状態で預ける「委託保証金現金」と証券として預ける「代用有価証券」があります。
- 委託保証金現金・・委託保証金現金は、その名称の通り「現金」で預けたお金です
- 代用有価証券・・代用有価証券は、株式や債券などで代用する事もできます
代用有価証券は時価よりも低く設定されている
代用有価証券には価格変動リスクがあります。そのため、あらかじめ決められた掛け目(上場株式80%、国債95%など)を、時価に掛け合わせたものが、実際の代用有価証券の評価額となります。
例えば、現在の価値が100万円の株を代用有価証券とするなら、委託保証金としての金額は80万円ですね。
委託保証金は最低30万円
信用取引の委託保証金は、多くの証券会社で最低30万円は必要となっています。つまり、信用取引を行うには最低30万円は証券口座に入金する必要があります。
委託保証金率
委託保証金率とは、新規で行う信用取引の売買に対して必要な委託保証金の割合です。委託保証金率は法令で30%以上と定められており、ほとんどの証券会社は委託保証金率を30%としています。
委託保証金率30%とすれば、信用取引で1000万円分の株を買い建てするなら、証券口座には300万円の委託保証金が必要ということになります。
委託保証金維持率
委託保証金維持率とは、信用取引で保有している建玉を「維持」するのに必要な委託保証金の割合です。「最低保証金維持率」とも言います。
新規の建玉を買った時には委託保証金率の30%を超えていても、代用有価証券の評価額が下がれば30%を下回ることもあります。
そうなった時の最低ラインとして設定されているのが委託保証金維持率です。委託保証金率が30%なのに対して、委託保証金維持率は20~25%程度に設定されていることが多いです。
- 委託保証金率・・新規で信用取引をした時の保証金の最低ライン
- 委託保証金維持率・・信用取引の建玉を維持するための保証金の最低ライン
追証とは?
追証(おいしょう)は、委託保証金を追加で差し入れなければならない状態のことです。建玉の含み損や代用有価証券(担保にしている株)の値下がり等によって、委託保証金率が下がることにより発生します。
ちなみに、追証は「追加保証金」を省略した呼び方です。
追証が発生する仕組み
代表的な追証が発生する仕組みは次の通りです。
①建玉が含み損になる
追証が発生する最も多いケースは、信用取引の建玉が含み損を抱えた時です。
例えば、委託保証金300万円で1000万円分の建玉を持っているとしましょう。この時の委託保証金率30%で新規で建てられる建玉の上限まで購入しています。
この建玉が株価の変動で900万円の価値になったとします。すると、この含み損である100万円は委託保証金から差し引かれ委託保証金は200万円となり建玉に対して20%にしかなりません。
委託保証金維持率が25%であれば、保証金が不足している状態になります。
②代用有価証券の評価額が下がる
また、現物株を代用床証券としている場合に、評価額が下がることでも追証は発生します。
先ほどと同じく、委託保証金300万円で1000万円の建玉を持っていたとしましょう。
この時の委託保証金が代用有価証券で掛け目が80%だった場合には、代用有価証券の現在の価値は375万円です。(375万円×80%=300万円)
この代用有価証券の株価が40%下落したとすれば、委託保証金も30%下落して210万円になります。
建玉自体が変動していなくても、委託保証金が210万円になれば建玉に対して21%になってしまい、最低委託保証金維持率が25%なら、保証金が不足している状態になります。
追証が発生したらどうする?
追証が発生した場合には、証券会社より委託保証金が不足していることを伝えるメールが来ます。
追証が発生した時は次の2つの方法で解決することが出来ます。
委託保証金維持率を上回るように追証を入金する
1つは、委託保証金維持率を上回るように追証(追加証拠金)を入金する方法です。
追証メールに記載されている金額を期日までに振り込むことで解決します。
建玉を返済する
建玉を返済することで追証を入金する必要がなくなります。
ただし、決済して委託証拠金が30万円を下回るようなら、委託保証金を入金しなければ信用取引はできなくなります。
期日までに追証を入金しなかったら?
期日までに追証を入金せず建玉を返済しなかった場合にはどうなるのでしょうか?
もし期日までに追証を払えなかった場合には、証券会社により建玉を強制決済されます。つまり、建玉を自動的に返済されるということですね。
強制決済の場合は、成行注文で発注されるので場合によっては損失を拡大する恐れもあります。追証が発生するようなギリギリの委託保証金での信用取引は避けたいですね。
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