
株式投資で会社の分析をしていると、決算書では貸借対照表に、ファンダメンタルズ分析ではPBRに「純資産」という用語が出てきます。何となく「純資産」という響きだけで「会社の純粋な資産」という感覚はありますが、具体的にはどういった資産でしょうか?今回は、株式投資で出てくる「純資産」の意味や具体的な資産内容について勉強しましょう。
純資産とは
貸借対照表では、会社の資産を「資産の部」「負債の部」「純資産の部」の3つの項目に分類しています。
純資産とは、この項目の一つであり、資産総額から負債総額を差し引いた金額になります。
純資産は会計学の用語であり、以前は「資本」や「自己資本」「株主資本」などと呼ばれていましたが、2005年に「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準」において「純資産」という正式名称で定義されました。
参考:貸借対照表とは
純資産は返済のない資産
借入金や債券などの負債と違って、純資産は返済が必要な資産です。そのため、純資産の割合が多いほど財務的には安全と判断することが出来ます。
純資産の内訳
純資産は「株主資本」と「株主以外資本」で構成されています。
株主資本
株主資本とはその名の通り「株主によって出資されたお金」や「その出資をもとに事業で得たお金」です。株主資本は次のような内訳になります。
- 資本金・・株主が出資した資金のうち、資本金として計上されたお金
- 資本剰余金・・資本準備金とその他資本剰余金を足したお金
- 資本準備金・・株主が出資した資金のうち、資本金として計上しないお金
- その他資本剰余金・・資本金・資本準備金の取り崩しや自己株式を処分した差額など
- 利益剰余金・・会社の利益を積み立てたお金
- 利益準備金・・利益剰余金のうち会社法により積み立てることが義務付けられているお金
株主以外資本
純資産のうち株主資本にあたらない資本です。株主以外資本はさらに次のような内訳になります。
- 評価・換算差額等・・その他有価証券評価差額金や繰延ヘッジ損益など資産を時価評価した際の損益
- 新株予約権・・株式の交付を受けることができる権利。ストックオプションなど
- 非支配株主持分・・連結子会社のうち、連結親会社に属さない持分
PBR(純資産倍率)の純資産との違い
また、ファンダメンタルズ分析のPBR(純資産倍率)でも純資産という単語が用いられます。
このPBRの純資産も同様の意味なのでしょうか?私も少し曖昧にしていましたが、少し調べてみると違いがわかりました。
純資産倍率の「純資産」は株主持分
PBRで用いられる純資産は、貸借対照表の「純資産」とは厳密には違う意味で使われています。PBR(純資産倍率)での純資産は、株主持分のみを考慮した数値になるようです。
つまり、「PBRの純資産+株主以外持分=貸借対照表の純資産の部」ということですね。
参考:純資産倍率(PBR)とは
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