
上場企業の株式を取引時間以外に売買する立会外分売という取引手法があります。今回は立会外分売の目的や企業、投資家にとってのメリットについて勉強しましょう。
立会外分売とは
立会外分売(たちあいがいぶんばい)は、企業や大株主が保有してい株を、市場で取引されている価格より安く売りだす取引方法を言います。
立会外とは「証券取引所の時間外」、分売とは「分けて売り出す」という意味から立会外分売と呼ばれています。
立会外分売の目的
では、わざわざ取引時間外に時価よりも安く株を売却する立会外分売にはどういった目的があるのでしょうか?
新規株主を増やすため
立会外分売の主な目的として、株主数を増やすことが挙げられます。例えば、東証二部や東証マザーズなどから、東証一部に指定替えを狙っている場合には、株主数による規定があり、一定の株主数をクリアしなければいけません。※東証一部上場規定では株主数800人以上
株主数が規定に届かず、手っ取り早く新規株主を増やす方法として、立会外分売は有効な油断になります。
流動性を高めるため
また、指定替えを目的としていなくても、株の流動性を高めたい時にも立会外分売は有効な手段です。
新規株主を増やし、市場での売買を活発にすることで、既存株主にとって株を売却しやすい環境づくりをすることが出来ます。
個人投資家にとってのメリット
立会外分売を利用して株を購入する個人投資家には以下のようなメリットがあります。
- 市場価格よりも安く購入できる
- 取引手数料が無料
- 東証一部への指定替えの期待
立会外分売では市場で取引されている価格よりも、数%程度安い価格で株を購入することが出来ます。また、立会外分売で購入する場合には、取引手数料もかからないので、興味ある企業の立会外分売は魅力的なイベントです。
さらに、立会外分売を実施する目的として、東証一部への指定替えの準備段階である可能性もあるため、それが実現した時には一部上場による株高期待もあります。
一時的には株安要因になるデメリットも
ただし、大量の立会外分売を実施する場合には、株安要因にもなります。元々、市場価格より安く購入できる分、立会外分売直後には株価を押し下げる要因にもなります。
立会外分売で株を購入したからと言って、必ずしも長期投資を目的としているとは限らないからです。
ただ、新規株主が立会外分売で購入できる価格を下回る価格で売却する理由もないため、下落は限定的と言えるでしょう。
どちらかと言えば、既存株主にとって少しデメリットになり得る要因と言えそうです。
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