
株式投資で会社の財務リスクを知るためには、会社の自己資本と他人資本の割合や内容も重要です。今回は、自己資本の基本的知識や純資産、株主資本との違いについて勉強しましょう。
自己資本とは
自己資本は他人資本と対をなす資本という意味で使われます。「自分の資本」か「借りた(他人の)資本」か、つまり「会社の内部にある資金」か「他人(銀行など)から借りた資金」かを区別するための用語です。
貸借対照表での自己資本の範囲
貸借対照表で言えば、他人資本とは「負債の部」にあたる項目です。対して、自己資本は「純資産の部」にあたる項目になるわけですが、厳密には「純資産の部」の中でも自己資本にあたらない項目もあります。
正確には、自己資本とは貸借対照表の純資産の部のうち、新株予約権や少数株主持分を除いた資本のことです。
では、新株予約権と少数株主持分は、なぜ自己資本には当たらないのでしょうか。
新株予約権
新株予約権とは、あらかじめ決められた価格で株を買う権利です。役員、従業員向けに発行されるストックオプションもこの一部です。
新株予約権は、将来的に資本金となるために純資産として位置づけられますが、株主に帰属するものではないという点で自己資本とはなりません。
少数株主持分(非支配株主持分)
企業が連結財務諸表を作成する際に、100%子会社ではない会社の財務諸表を連結する場合の勘定科目を少数株主持分といいます。
簡単に言えば、会計上は資本に子会社の資産も100%含むことにしますが、実際には100%子会社ではないために、他の少数株主分の資産も含まれます。例えば、80%の株式を保有する子会社の場合には、その子会社の資産のうち20%は少数株主が保有する資産になります。
自己資本と株主資本の違い
次に、自己資本と似た用語に株主資本があります。この株主資本と自己資本の違いはなんでしょうか?
自己資本は株主資本に「その他包括利益累計額」を加えたものになります。その他包括利益とは次のようなものです。
- その他有価証券評価差額金
- 為替換算調整勘定
- 繰延ヘッジ損益
- 退職給付に係る調整累計額
その他包括利益は簡単に言えば「含み損益」です。株主資本にまだ確定していないが時価で変動するものを包括利益として加減することで自己資本になります。
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