
ファンダメンタルズ分析を用いることで、現在の株価が高いのか安いのかを判断することができます。今回はファンダメンタルズ分析でも代表的な純資産倍率(PBR)について勉強しましょう。
純資産倍率(PBR)とは?
純資産倍率(PBR)は現在の株価が会社の純資産と比べて何倍になっているのかを知るためのファンダメンタルズ分析の指標です。
純資産とは会社が解散した時に、株主の手元に残る資産になるため「純資産倍率は会社の解散価値を示す」とも言われます。
純資産倍率(PBR)の計算式は以下のとおりです。
純資産倍率(PBR)=株価÷一株当たりの純資産
例えば、現在の株価が1000円、一株当たりの純資産がが2000円なら、純資産倍率(PBR)は2倍になります。
純資産倍率(PBR)の考え方
純資産倍率(PBR)は、現在の株価には会社の純資産の価値がどれだけ含まれているのかを知ることができます。
例えば、PBR2倍であれば株価の半分は純資産の価値だということがわかります。
純資産倍率(PBR)は低いほど割安
そのため、純資産倍率(PBR)は低いほど、株価は割安であると判断することが出来ます。
PBRが2倍の株と4倍の株では、純資産倍率だけで考えれば2倍の株の方が割安です。
純資産倍率(PBR)は新興企業ほど高い
会社の純資産と株価を比べる純資産倍率は、当然ながら利益の蓄積の少ない新興企業ほど高くなる傾向にあります。
そのため、マザーズ市場に上場しているような新興企業で純資産倍率を投資判断に用いるのは、あまり効果的ではないと言えます。
純資産倍率(PBR)の調べ方
純資産倍率(PBR)はファンダメンタルズ分析でも代表的な指標です。
証券会社の銘柄情報やヤフーファイナンスなどでも、簡単に個別銘柄の純資産倍率(PBR)を調べることができます。
純資産倍率(PBR)の平均は?
また、純資産倍率(PBR)の市場平均や業種平均を調べたいなら、日本証券所グループのサイトから確認することができます。
ちなみに、このデータによると2021年2月の東証一部の市場平均PBRは1.3倍になっています。
基本的な純資産倍率(PBR)の使い方
では、実際の株式投資をする時に、純資産倍率(PBR)をどのように利用すれば良いでしょうか?
株価収益率には、次のような基本的な使い方があります。
業種平均と比較する
ある株を買おうとする時に、その株が業種内で割安か割高かを純資産倍率(PBR)を用いて判断することが出来ます。
例えば、業種平均がPBR2倍だった時に、買いたい株がPER3倍であれば、やや割高になっていることがわかります。
逆にPBR1.5倍であれば、純資産倍率(PBR)で考えれば割安な株価であると判断できます。
同業他社と比較する
同業他社と比較する時に純資産倍率(PBR)は役に立つ指標になります。
例えば、A社とB社のどちかの株を買うかを迷った時に、A社のPBRが2倍、B社が3倍だった時には純資産倍率(PBR)だけで考えればA社の方が割安であると判断できます。
純資産倍率(PBR)の注意点
基本的な純資産倍率(PBR)の使い方は上記の通りですが、効果的に使いこなすには次の点に注意が必要です。
- 業種・市場によって純資産倍率(PBR)は違う
- 純資産倍率(PBR)は1倍を下回ることもある
- 新興株においては株価収益率は参考になりにくい
純資産倍率(PBR)は理屈で言えば、会社の純資産価値と株価が同等である1倍を割れることはありません。しかし、実際にはPBR0.5倍以下の企業も少なくありません。
この理由は純資産は必ずしも、そのまま現金に換金できるわけではないからです。不動産や機械設備なども純資産に含まれるため、「純資産=解散したら株主に還元されるお金」と考えるのは間違いです。
また、純資産倍率(PBR)は割安な株を探す時には有効なファンダメンタルズ分析手法ですが、利益剰余金の少ない新興株の分析には効果的ではありません。
純資産倍率(PBR)は長期投資する割安株を探すのに効果的
純資産倍率(PBR)は、長期投資する割安株を見つけるための分析手法として効果的です。
業績が安定していてPBRが低いということは、それだけ下落余地が小さいとも言えます。配当金によるインカムゲインを考えた時に、下落余地が小さいということはリスクを抑えることにも繋がります。
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