
株価の推移は上昇相場よりも下落相場の方が、一般的には動きが早いと言われています。そして、下落相場の最期は「セリング・クライマックス」と言われる大きな下落が起こることも投資家の間では周知されています。今回は、セリング・クライマックスが起こる仕組みや下落相場の投資家心理について勉強しましょう。
セリング・クライマックスとは
セリング・クライマックスは下落相場の最終局面で起こる大幅な相場や株価の下落のことを言います。クライマックスという言葉からもわかるように、下落相場の底打ちのサインとしても知られています。
では、なぜ下落相場の最期には大きな下落が起こるのでしょうか?
セリング・クライマックスの仕組み
投資家のほとんどが損切りが苦手
相場や株価の変動には、投資家の心理状態が大きく影響しています。
人は心理的に、同等の利益を得るよりも損失を被る方が、精神的なブレが大きくなります。例えば10万円の利益を得る喜びよりも、10万円の損失を被る精神的ダメージの方が、遥かに大きくなります。
そういった心理的な要因から、損切りが遅れ、さらに損失が拡大することで損切りが出来ない状況に追い込まれます。
そのような状況で多くの投資家が正常な判断力を失った状況で、相場から逃げ出すことで下落相場の最期「セリング・クライマックス」が起こります。売りが売りを呼ぶ状態ですね。
追証による強制決済
また、心理的要因を除外しても、何割かの投資家は大きな下落相場で株を売らざるを得ない状況に追い込まれます。
それは、信用取引で保証金が不足した時に発生する追証が発生するからです。追証とは、信用取引で建玉の資産価値が委託保証金の基準よりも下落した際に起こる、追加で必要となる保証金のことです。
信用取引で大きな建玉を持っている投資家が、下落相場で想定外の下落になると、保証金が足りずに追証を支払わなければいけない状況に追い込まれます。
そうなった時に、追証を払えれば問題はありませんが、余力がなければ強制決済、余力があっても更なる下落に恐怖するなら底値でも建玉を決済するしかありません。
これは理論的な株の価値に関係なく行わるため、追証に絡む決済のピークがセリング・クライマックスとなります。
セリング・クライマックスを乗り切るポイント
では、セリング・クライマックスを乗り切るためには、どういう投資をすればいいでしょうか?
- 信用取引で買い増しをしない
- 損切りラインは株を買う時に決める
- 常に資金に余裕を持つ
- 下落相場でセリング・クライマックスが起こる意識を持つ
これくらいのポイントを意識すれば、セリング・クライマックスに動じることはないでしょう。
ただし、下落相場の底値がどれだけ深くなるかは、誰にもわかりません。大きな下落が全てセリング・クライマックスだと容易に判断しないで、常に油断しない資金管理を心掛けましょう。
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