
信用取引の新規売り(空売り)は、場合によっては株価を意図的に変動させ、市場に混乱をもたらす恐れがあります。そういった、不健全な状況を避けるために空売り規制があります。今回は、そんな空売り規制の具体的な内容と条件などについて勉強しましょう。
空売り規制とは?
空売り規制は、新規の空売り(新規信用売り)に対する制限措置のことです。
空売り規制は、空売りによって株価を意図的に下落させて利益を得ようとする行為や、株価の下落を加速させるような行為を防ぐためのルールです。
空売り規制の発動条件
空売り規制は、当日の基準値である株価から10%以上、下落した時に発動されます。この基準値から10%下がった株価を「トリガー値段」と言い、その株価になることを「トリガー抵触」と言います。
空売り規制の具体的内容
トリガー抵触した銘柄は、直近株価以下の価格で51単元以上の空売り注文を規制されることになります。
具体的には、次のような制限が設けられます。
トリガー抵触による空売り規制 | 株価上昇局面 | 直近公表価格未満での信用新規売り注文を規制 |
株価下落局面 | 直近公表価格以下での信用新規売り注文を規制 |
例えば、基準値1000円の株が900円に下落したとします。この基準値とは前日の終値のことですね。※ただし権利落ち日の基準値は配当落ち分を考慮した価格です。
1000円の株が900円になったことで株価は10%下落しました。この時点で空売り規制の対象となります。この後に株価が901円以上を回復しても空売り規制は解除されないことがポイントです。
空売り規制の対象となったこの銘柄は、51単元以上、つまり5100株以上の空売り注文を空売り規制で制限されます。
ただし、空売り規制となった株の空売り規制は上昇局面と下落局面で少しだけ違います。上昇局面では現在値では新規売り発注が出来ますが、下落局面では現在値を含めて新規売り発注ができません。
株価上昇局面とは?
株価の上昇局面とは、現在値がその直前の株価よりも高い状況です。例えば、現在値が900円で直前の株価が899円なら上昇局面です。
株価下落局面とは?
株価の下落局面とは、現在値がその直前の株価よりも低い状況です。例えば、現在値が900円で直前の株価が901円なら下落局面です。
空売り規制の制限期間
空売り規制が発動した場合、当日中に株価が回復した場合でも翌営業日の取引終了まで空売り価格規制が適用されます。
空売り規制の
空売り規制の注意点
空売り規制は51単元以上(5100株以上)に適用される制限措置です。つまり5000株以下の空売り注文には適用されません。
そのため、空売り規制銘柄でも分割して注文してしまえば、5100株以上の空売りをすることが可能です。しかし、それが空売り規制を回避するための取引だと判断された場合には、空売り規制に該当することになります。
個人投資家で5100株以上の空売り注文をする人は滅多にいないと思いますが、低位株などでの発注には気をつけましょう。
空売り規制された銘柄の調べ方
空売り規制に該当する銘柄をトリガー規制銘柄と言います。このトリガー規制銘柄は日本証券所グループのホームページから確認することが出来ます。
また、この空売り規制は、リアルタイムに発表されるわけではなく、大引け後(16時半頃)に発表されるので、もし5100株以上の空売り注文を出す際には、当日の株価推移はチェックしましょう。
空売り規制まとめ
- 基準値から10%以上、下落すると空売り規制が発動する
- 一度10%以上の下落をしたら、株価が回復しても規制は解除されない
- 空売り規制の対象となるのは5100株以上の新規売り注文(空売り注文)
- 分割発注でも5100株を超えると規制対象になり得る
- 空売り規制の適用期間は翌営業日の大引けまで適用される
- トリガー抵触銘柄は日本証券所グループのホームページ等で確認できる
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