
一まとめに日本株と言っても上場する市場によって、株の動向は大きく違います。今回は日本の株式市場の中でも代表的な「東京証券取引所」の市場分類と「東証一部」「東証二部」「東証マザーズ」「ジャスダック」の違いや特徴について勉強しましょう。
株式市場と証券取引所
株式市場とは、上場する株式の売買が行われる場所です。例えば、「東証一部」は東京証券取引所が運営する日本で最も大きな株式市場ですね。
では、その株式市場はどこが運営しているのでしょうか?
株式市場を運営しているのは「証券取引所」です。証券取引所は株式に限らず、様々な金融商品を売買するマーケットを構築しています。例えば、ETFやETN、REITや債券なども証券取引所が扱っている金融商品です。
日本最大の証券取引所「東京証券取引所」
その証券取引所でも東京証券取引所は、日本最大のマーケットであり、4つの株式市場を運営しています。
具体的には、「東証一部」「東証二部」「東証マザーズ」「ジャスダック」という名称の株式市場です。株式投資をしていない人でも聞いたことがあるんじゃないでしょうか。
その他の証券取引所
ちなみに、株式市場を運営しているのは、東京証券取引所の他にも名古屋証券取引所、札幌証券取引所、福岡証券取引所などの地方証券取引所があります。
地方証券取引所の株式市場には、地元基盤の企業が上場するのが一般的で、その地方における影響力のある企業の株を売買することが出来ます。
東京証券取引所を運営する日本取引所グループ(JPX)
また、東京証券取引所は日本取引所グループが運営する証券取引所です。
日本取引所グループは、2013年に東京証券取引所グループと大阪証券取引所が経営統合して生まれた、日本最大の証券取引所です。
順番が逆になりましたが、「日本取引所グループ」→「東京証券取引所」→「株式市場」という構図になりますね。
東京証券取引所が運営する4つの株式市場
東京証券取引所では、4つの株式市場を運営し、企業の規模や特徴などに応じて分類しています。
東証一部
日本の株式市場の花形と言えば「東証一部」です。言ってみれば、日本の企業のエリートが集まる株式市場ですね。
東証一部に上場する企業数は2191社(2021年4月)もあり、誰もが聞いたことがある大企業を中心に、名前は知らなくても生活のどこかで縁のあるような企業が多く上場しています。
日本で最大の株式市場であり、そこに上場するための審査基準も最もハードルが高いのが特徴です。例えば、東証一部に上場するためには以下の条件などを満たす必要があります。
- 株主数800人以上
- 流動株式数2万単位以上
- 流通株式時価総額100億円以上
- 時価総額250億円以上
東京証券取引所の他の市場に上場している企業が、上記のような条件を満たして東証一部に上場することを、一部指定や指定変更などと言います。名称は元の上場市場によって違います。
東証二部
東証一部ほど大きな規模の会社ではないものの、株式を売買するのに十分な条件を満たした企業が上場する市場です。
東証二部に上場している企業は474社(2021年4月)にのぼり、老舗の企業もあれば東証マザーズやジャスダック市場からの指定変更で上場している企業もあります
また、東証一部から指定替えを受けて東証二部に降格する企業もあります。
東証二部への上場は東証一部から降格の場合と、東証マザーズ・ジャスダック市場から指定変更によっても条件が異なります。
東証マザーズ・ジャスダックからの指定変更
東証マザーズやジャスダックからの指定変更の場合は次のような条件を満たす必要があります。
- 株主数400人以上
- 流動株式数2000単位以上
- 流通株式時価総額10億円以上
- 流通株式数(比率)上場株券等の25%以上
- 連結純資産の額が正
- 最近1年間の利益の額が1億円以上
東証一部からの二部降格
また、東証一部からの二部降格には次のような条件があります。
- 株主数800人未満(猶予期間1年)
- 流動株式数10,000単位未満(猶予期間1年)
- 流動株式時価総額10億円未満(猶予期間1年)
- 時価総額20億円未満の場合において9か月以内に20億円以上とならないとき
- 債務超過※除外条件あり
東証マザーズ
東証マザーズは、新興企業の花形市場です。創業間もない企業などの登竜門のような市場で、多くの新興企業が東証マザーズを経て東証一部への上場を目指しています。
東証マザーズへは356社(2021年4月)が上場していて、この企業の中から今後の日本経済に大きく影響する企業が出てくることも期待されます。
東証一部・二部の上場審査の基準が、会社の収益性や規模に関することが主なのに対し、東証マザーズは主に事業計画などをもとに、成長の可能性について審査が行われています。
ジャスダック(JASDAQ)市場
ジャスダック市場は元々は、大阪証券取引所の株式市場でした。英語名のJASDAQは米国のNASDAQを模した名称であることから、新興市場であることが伺えます。
ジャスダック市場はJASDAQスタンダード666社、JASDAQグロース37社と合計で701社(2021年4月)と東証マザーズ市場よりも多くの企業が上場しています。
JASDAQスタンダードとJASDAQグロースの違い
JASDAQスタンダードとJASDAQグロースの違いは以下のとおりです。
JASDAQスタンダード
一定の市場規模や実績を有する企業を対象としています。
JASDAQグロース
特色のある技術やビジネスモデルを有し、より将来の成長可能性のある企業を対象としています。
株式市場の分類まとめ
企業の規模や特徴によって上場する市場が違うのは、個人投資家が投資をする際にも検討材料になります。
東証一部は厳しい審査と大きな規模を有した企業であり、株価の急騰は見込めなくても安定した配当を出す企業が多く、東証マザーズでは成長過程の企業が多く配当は少ない代わりに、株価が大きく伸びる可能性を秘めています。
自身の投資手法や考え方から株式市場を選ぶのも、投資のヒントになるでしょう。
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